ドリス・ヴァン・ノッテンとは?柄と色の魔術師の歴史、129回のショー、引退とヴェネツィアの財団まで

パリのドリス・ヴァン・ノッテンのブティック DRIES VAN NOTEN
Photo: LPLT / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

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あざやかな柄と色、ていねいな刺繍、そして詩のように美しいショー。38年にわたって、世界中のファッション好きを魅了してきたのが、ベルギーのデザイナーDries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)です。

2024年に自身のブランドを退いたあとも、イタリア・ヴェネツィアに財団を立ち上げるなど、今も新しい活動を続けているドリス。この記事では、その歩みと、ドリスの服の魅力をまとめました。

ドリス・ヴァン・ノッテンとは

ドリス・ヴァン・ノッテンは1958年、ベルギーのアントワープ生まれ。おじいさんは仕立て屋、お父さんは紳士服店を営んでいたという、服づくりに囲まれた家庭で育ちました。

1977年にアントワープ王立芸術アカデミーのファッション学科に入学し、1981年に卒業。そこで出会った仲間たちと、のちに「アントワープの6人」として世界に知られることになります。

「アントワープの6人」としてロンドンへ

1986年、ドリスはロンドンでアカデミーの仲間たちとともにデビューコレクションを発表しました。このときに注目を集めたのが、ドリスのメンズのスーツ。ニューヨークのバーニーズが、小さなサイズのメンズスーツをウィメンズとして売り出した、というエピソードも残っています。

翌1987年にはウィメンズも始め、ブランドは少しずつ広がっていきました。アントワープの6人について、くわしくはこちらの記事でまとめています。

アントワープの6人とは?メンバー6人のブランドと歴史、40周年の展覧会まで【Antwerp Six】
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1989年、旗艦店「Het Modepaleis」

1989年、ドリスはアントワープに最初の旗艦店「Het Modepaleis(ヘット・モードパレイス)」をオープンします。もともと紳士服店だった、歴史ある建物を使ったお店です。紳士服店の息子が、紳士服店の建物で自分の店を始める。なんだか運命のようなお話だなと僕は思います。

アントワープのドリス・ヴァン・ノッテン旗艦店「Het Modepaleis」
アントワープの旗艦店「Het Modepaleis」(Photo: Carolus / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

パリへ。そして129回のショー

1991年、ドリスはパリで初めてのメンズのショー(1992年春夏)を行いました。このショーの最後には、女性のシルエットもいくつか登場していたそうです。1993年にはパリでウィメンズのショーも始まり、以降はパリを代表するデザイナーのひとりになっていきます。

ドリスのショーは、いつも特別でした。キャリアを通じて行ったショーは、なんと129回。中でも語り継がれているのが、2004年の50回目のショーです。500人分の食卓が用意され、モデルたちはそのテーブルの上を歩きました。2017年には100回目のショーを迎えています。

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ドリスの服の魅力

  • 柄と色の組み合わせ:花柄、ペイズリー、エスニックな模様。ふつうなら合わせないような柄や色を重ねて、なぜか美しくまとめてしまう。「柄と色の魔術師」と呼ばれるゆえんです。
  • 刺繍や素材へのこだわり:手仕事を感じる刺繍や、豊かな素材づかいも、ドリスの服の大きな魅力です。
  • メンズとウィメンズの行き来:最初のメンズのショーに女性のルックが登場したように、メンズとウィメンズの間を自由に行き来する感覚も、ドリスらしさのひとつです。
  • 流行を追わない:広告にもほとんど頼らず、トレンドよりも自分の美しさを信じて服を作ってきたといわれています。

派手な柄を使っているのに、着る人を主張しすぎない。華やかさと、落ち着いた大人っぽさが同居しているところが、ドリスの服のいちばんの魅力だと僕は思います。

受賞と評価

年できごと
2008年アメリカのCFDAで「インターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞
2014年パリ装飾芸術美術館で展覧会「Inspirations」。ベルギー人デザイナーとして初の展覧会
2017年ベルギー国王から「男爵」の称号を授かる
2018年スペインのPuig(プーチ)が過半数の株式を取得。ドリスはクリエイティブ・ディレクターとして続投
2022年香水やリップなどのビューティーラインを開始

2024年、ドリスはブランドを退いた

2024年3月、ドリスは自身のブランドのクリエイティブ・ディレクターを退くことを発表しました。2024年6月に発表した2025年春夏メンズが、ドリス本人による最後のコレクションです。新しい世代の才能にブランドを託す時が来た、というのが本人の言葉でした。

後任には、2018年からドリスのもとでウィメンズのデザインを担当してきたジュリアン・クラウスナーが、2024年12月に就任しています。ドリス本人も、引退後もブランドとの関わりは続けるとしています。

引退後、ヴェネツィアに財団を

引退後のドリスが選んだ新しい場所は、イタリアのヴェネツィアでした。2025年、大運河に面した15世紀の宮殿「パラッツォ・ピザーニ・モレッタ」を取得し、手仕事(クラフト)に焦点をあてた「Fondazione Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン財団)」を立ち上げます。

2026年4月から10月までは、最初の展覧会「The Only True Protest Is Beauty(唯一の本当の抗議は、美である)」が開かれました。服を作る人から、美しいものを育てる人へ。ドリスの活動は、ファッションの外へと広がっています。

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そして2026年は、アントワープの6人がロンドンでデビューしてから40周年。アントワープのモード美術館(MoMu)の展覧会「The Antwerp Six」では、ドリスが自身の代表的なショーのルックを選び直して展示しています。

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ドリス・ヴァン・ノッテンのアーカイブを探すなら

ドリス本人がデザインした服を手に入れたいなら、古着が中心になります。柄物のシャツやジャケットは、メルカリでも見つけやすいアイテムです。

古着を買うときの注意点は、こちらの記事でまとめています。

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まとめ

仕立て屋の家に生まれ、アントワープの6人として世界に出て、129回のショーで人々を魅了し、そして今はヴェネツィアで美しいものを育てている。ドリス・ヴァン・ノッテンは、最初から最後まで「美しさ」を信じ続けたデザイナーだと思います。

アントワープの6人の仲間、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクについてはこちらの記事でまとめています。正反対ともいえる2人の服を見比べてみるのも、おもしろいと思います。

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ブランドとしてのドリス・ヴァン・ノッテン(服の特徴や定番アイテム、サイズの選び方)は、こちらの記事でまとめています。

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アイキャッチ画像:LPLT(CC BY-SA 3.0)/Wikimedia Commons

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