アンダーカバーのアーカイブ名作まとめ|SCAB・but期・85デニムまで、高橋盾の歴史と今

UNDERCOVER

「We make noise, not clothes.」

服ではなく、ノイズを作る。そんな言葉を掲げてきたのが、高橋盾さん(JONIO)が手がけるUNDERCOVER(アンダーカバー)です。パンクを根っこに持ちながら、かわいさと気味の悪さ、美しさと汚さを同じ服の中に同居させてきたブランドで、今も古着市場で「アーカイブ」として強い人気があります。

しかも2025年、ブランド35周年のタイミングで、高橋さん自身が伝説のシーズン「but beautiful」を再び取り上げ、アーカイブにあらためて注目が集まっています。

この記事では、アンダーカバーの歴史と、今あらためて知っておきたいアーカイブの名作コレクション・名作アイテムを、できるだけわかりやすくまとめました。

アンダーカバーとは?高橋盾と裏原宿のはじまり

高橋盾さんは1969年、群馬県桐生市生まれ。文化服装学院に在学中の1990年に、同級生の一之瀬弘法さんとアンダーカバーを立ち上げました。ブランド名は「秘密のもの」といった意味を込めた造語だそうです。

1993年には、NIGOさんと一緒に原宿に「NOWHERE」をオープン。藤原ヒロシさんの後押しもあって、ここから「裏原宿」と呼ばれるムーブメントが生まれていきます。

子どものころからパンクロックが好きだったという高橋さん。反抗的で、でもどこか繊細なパンクの精神は、今もアンダーカバーの服の中心にあります。

アンダーカバーの年表

年できごと
1990年文化服装学院在学中に、一之瀬弘法さんとアンダーカバーを設立
1993年NIGOさんと原宿に「NOWHERE」をオープン
1994年秋冬シーズンから東京コレクションに参加
2001年毎日ファッション大賞を受賞
2003年2003年春夏コレクション「SCAB」でパリコレデビュー
2010年ナイキとのランニングライン「GYAKUSOU」がスタート
2012年ユニクロとのコラボ「UU」を発売
2017年sacaiと東京で合同ショーを開催
2018年ピッティ・ウオモで、TAKAHIRO MIYASHITA TheSoloist.と合同ショー
2025年35周年。2025-26年秋冬ウィメンズ「but beautiful 4…」、2026年春夏メンズ「but beautiful 4.5…」を発表
2026年2月に「GU × UNDERCOVER」を発売

アーカイブの名作コレクション

アンダーカバーは、シーズンごとにタイトルとはっきりした世界観を持っているのが特徴です。古着を探すときも、このシーズン名で検索されることが多いので、代表的なものを押さえておくと便利です。

2002-03年秋冬「Witch’s Cell Division」(魔女期)

デニムの裏側にスウェットパンツをくっつけたような「ハイブリッドジーンズ」が登場したシーズン。異なる服をひとつにつなぐ、アンダーカバーらしい発想がよく出ています。翌シーズンの「Paper Doll」でも、スウェットとデニムのハイブリッドが作られています。

タイトルの「魔女の細胞分裂」から、ファンの間では「魔女期」とも呼ばれるシーズンです。シーズン全体にクロス(十字架)のモチーフが使われていて、逆さ十字のスウェットや、クロスのベルト、ニット帽なども作られました。

そして、僕がアンダーカバーのアイテムで一番好きなのが、この魔女期のシルバーのクロスネックレスです。服のシーズンとして語られることが多いアンダーカバーですが、アクセサリーにもシーズンの空気がしっかり込められているのがわかる一品だと思います。

ショー映像:YouTube(Upscaled Runways)

2003年春夏「SCAB」

パリコレデビューとなった記念すべきシーズンです。テーマはクラスト・パンク。パッチを何枚も重ねて縫い付け、人間のかさぶた(スキャブ)を表現した服は、今でもアーカイブの象徴として語られます。クラスト・パンクのバンドのレコードのグラフィックを使ったアイテムも作られました。

ショー映像:YouTube(Upscaled Runways)

2004-05年秋冬「but beautiful… part parasitic part stuffed」

ファンの間で「but期」と呼ばれる時代のはじまりとされるシーズンです。フランスのぬいぐるみ作家アン・ヴァレリー・デュポンや、パティ・スミスのスタイルから影響を受けていて、グランジっぽい荒さと「美しさ」が混ざり合った世界観が特徴です。高橋さん自身が「ベストコレクション」として、2025年に再び取り上げたシーズンでもあります。

じつは、僕がアンダーカバーで一番好きなシーズンも、このbut beautifulです。本人がベストに選んだシーズンと、自分の一番好きなシーズンが同じだったのは、ちょっとうれしかったです。

映像:UNDERCOVER公式YouTube(35周年「but beautiful 4…」東京編の舞台裏。2004-05年秋冬のbut期がどう生まれ変わったかが見られます)

2005年春夏「but beautiful II」

but期の続編で、チェコのアニメーション作家ヤン・シュヴァンクマイエルへのオマージュを掲げたシーズン。ミリタリーパンツの再構築や、ボロボロに加工したデニムなど、but期らしいアイテムが多く残っています。

ショー映像:YouTube(DampMags/VideoFashion)

2005-06年秋冬「Arts & Crafts」

のちに名作として語られる「85デニム」が登場したシーズンです。刺し子のようなリペアがびっしり入ったスリムストレートのデニムで、手仕事の痕跡そのものがデザインになっています。

2006年春夏「T」

架空のバンドを5つ作り、それぞれのバンドのグッズやメンバーの服をデザインするという、音楽好きの高橋さんらしいシーズン。フレアデニムの「Klaus」や、ストレートの「Chuuut」などが知られています。

ショー映像:YouTube(IVO MILAN SHOP)

知っておきたいアーカイブの名作アイテム

ここからは、古着屋やアーカイブショップが実際に紹介している投稿と一緒に、名作アイテムを見ていきます。

68デニム(2004-05年秋冬)
横に裂けたダメージを刺し子でリペアし、膝に赤い太いステッチを入れた、but期を代表するデニム。当時の価格(6万8000円)が名前の由来とされています。

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85デニム(2005-06年秋冬「Arts & Crafts」)
刺し子のリペアが全体にびっしり入ったスリムストレート。写真で見ると、手仕事の細かさがよくわかります。名前の由来には諸説あります。

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SCABのアイテム(2003年春夏)
重ねたパッチが、人のかさぶたのように見えるのが特徴。デニムやジャケット、バッグなど、さまざまなアイテムがあります。写真は原宿の古着屋 laboratory r の入荷投稿です。

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but期のライダースジャケット(2004年秋冬)
荒々しさと美しさが同居した、but期を象徴するライダース。この時期のダブルライダースは、2016年春夏の25周年コレクション「THE GREATEST」で復刻されたほどの名作です。

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魔女期のテディベア・ベロアボンバー(2002-03年秋冬)
魔女期のテディベアを使ったボンバージャケット。かわいさと不気味さが混ざる、アンダーカバーらしい一着です。

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Uロゴ
Uの下にアンダーバーを引いた、初期から使われているロゴ。背中に大きく「U」を入れたコーチジャケットのように、ひと目でアンダーカバーとわかるアイコンです。

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そのほかの名作アイテム

  • 魔女期のクロスネックレス:2002-03年秋冬「Witch’s Cell Division」のシルバーのクロスネックレス。シーズンを象徴するクロスモチーフのアクセサリーで、僕が一番好きなアイテムです。
  • BUDDHA BURGER:2002年春夏に登場した、仏像とハンバーガーを組み合わせたモチーフ。のちに復刻されています。
  • 目隠しベアとGRACE:目隠しをしたクマのモチーフや、ぬいぐるみから生まれた一つ目のキャラクター「GRACE」。かわいさと不気味さが同居する、アンダーカバーらしいアイコンです。

2025年、アーカイブが再び動き出した

普段はあまり過去を振り返らないと言われる高橋さんですが、35周年の2025-26年秋冬ウィメンズでは、2004-05年秋冬のbut期を再訪した「but beautiful 4…」を発表しました。ショーでは、2004-05年秋冬のアーカイブピース3点が再び登場しています。

さらに2026年春夏メンズでは「but beautiful 4.5…」を、2026-27年秋冬ウィメンズでもbut期へのオマージュを続けています。本人がアーカイブに向き合っている今は、当時の本物を見直すのにぴったりのタイミングだと僕は思います。

35周年の「but beautiful 4…」の舞台裏は、アンダーカバー公式のYouTubeチャンネルで公開されています。but期のアーカイブがどうよみがえったのか、ぜひ映像で見てみてください。

いまのアンダーカバーの空気感は、公式Instagramで見られます。

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主なコラボレーション

  • NIKE「GYAKUSOU」(2010年〜):高橋さん自身がランナーであることから生まれたランニングライン。
  • UNIQLO「UU」(2012年):アンダーカバーの世界観を手の届く価格で届けたコラボ。
  • GU:2026年2月にも「GU × UNDERCOVER」として新作を発売。1,990円〜5,990円という価格帯で、入り口にもぴったりです。
  • sacai、TheSoloist.との合同ショー:2017年にsacaiと、2018年にはピッティ・ウオモで宮下貴裕さんのTAKAHIRO MIYASHITA TheSoloist.と合同ショーを行いました。

同じ時代の東京を代表するデザイナー、宮下貴裕さんのNUMBER (N)INEについては、こちらの記事でまとめています。

ナンバーナインとは?宮下貴裕の歴史と名作アーカイブ、カート・コバーン期から復活まで
宮下貴裕のNUMBER (N)INEとは?1996年の始まりから2009年の解散、TheSoloistの15年、そして2025年の復活まで。カート期をはじめとする名作アーカイブを、当時から集めてきた目線で語ります。

アンダーカバーのアーカイブはどこで買う?

当時のアーカイブは、もう新品では手に入りません。探すなら、メルカリなどのフリマアプリや、アーカイブを扱う古着屋が中心になります。メルカリは出品数が多く、相場も比べやすいので、まずはシーズン名やアイテム名で検索してみるのがおすすめです。

ただ、人気のブランドなので、偽物や、シーズンをあいまいに書いた出品もあります。タグの写真が載っているか、どのシーズンのものか説明があるかは、買う前に必ず確認してください。アーカイブを安全に買うコツは、こちらの記事でまとめています。

アーカイブ古着の買い方|メルカリで偽物を避けるコツと、おすすめの買う場所
アーカイブ古着はどこで買うのが正解?メルカリ・リユースショップ・古着屋のそれぞれの特徴と、偽物が多い今だからこそ大切な「知識・鑑定・信頼できるルート」の3つの守りを、実際にアーカイブを集めてきた目線でまとめました。

まとめ

アンダーカバーの魅力は、パンクの反抗心と、ぬいぐるみのようなかわいさや美しさを、ひとつの服の中でぶつけ合うところにあると思います。SCAB、魔女期、but期、Arts & Craftsと、どのシーズンにも「ただの服じゃない」と感じさせる強さがあります。

35周年を経て、本人がもう一度アーカイブに向き合っている今。僕のように、but beautifulのシーズンや魔女期のクロスネックレスみたいな「これが一番」と思える一着に出会えると、アーカイブ探しはもっと楽しくなります。気になるシーズンがあったら、ぜひ当時の一着を探してみてください。

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